styling/ ディレクター 白幡啓の対談連載2(前編)

第2回を迎えた、styling/のディレクター白幡が、今会いたい人をお招きする対談連載。
タイトルは白幡自身の口癖であり、この連載のテーマ。
各界で活躍する方々と、明日着る服を考えるように“わくわくするファッションの話”を。

vol.2
スタイリスト/mikomoriディレクター 安西こずえさん前編/後編)

『明日、何着る?』vol.1 stylist / mikomori director Kozue Anzai

vol.2のお相手は、数々の女性誌や広告でスタイリングを手がけるかたわら、自身のブランド「mikomori」のディレクションも務めるなど、
多忙な日々を送る安西こずえさん。スタイリスト兼ブランドディレクターという2足のワラジを履く二人だからこそ、お互いに泣き言も言い合える仲。
そんな二人の自由気ままな対談の様子を前編・後編でお届けします。

styling/と安西こずえさんの関係

白幡:展示会に来てくれた編集さんから、おもしろい人がいるよって紹介してもらったのが最初だよね?

安西:確か3年前ぐらいで、私がまだブランドをやっていないときですよね。

白幡:そのあと表参道ヒルズにこずちゃんも出店することになって、お店が向かいになったんだよね。

安西:そうなんです。それからはお互い助け合ったりキズをなめあって(笑)。性格的にあまり人に弱いところ見せられないんですけど、ケイさんにはなぜか弱音がはけます。 辛いこととか愚痴も言いやすくて。

白幡:初めてあった時からすごく話しやすかった!

安西:私、人見知りしないんですよ。

白幡:すぐ人と打ち解けるから、すごく顔が広いのよね。偉いおじさんとかにもすごく気に入られるし(笑)。こずちゃんって、最初は女性誌の中に急にやって来た感じがしてたのね。だけど気がついたらずっといる人みたいになじんでて、それがすごいなって。

安西:コミュニケーション能力ですね。私は仕事をする上で欠かせないと思ってます。

Kozue Anzai’s PICK UP ITEMS安西さんが過去にオーダーした styling/のアイテム

【ワンピース】

ブリティッシュなグレンチェックって好き。光沢のあるジャガード織りでイギリスの私立の女学生見たいな堅さがあるのに、大胆な背中あきがたまらない!足元はヌーディなサンダルでテンションを合わせつつ、キャスケットでボーイッシュさを加えてみました。

【ニットワンピース】

ニットワンピって実は作るのが難しいのに、ラインがキレイですごく上手なんですよね。だからぐっときちゃいました!肌と生地をどこから離したら今っぽくって、着やすくて細く見えるか、しっかり計算されているなと感じました。

スタイリスト兼ディレクターとしてのこだわり

安西:私の服作りのこだわりは、スタイリスト目線でほしいかどうか。例えば毎シーズン水着を作っているんですけど、スタイリストとしてはこれまで無かったものや絶対使えるものがほしい。だから、ワンピース型の水着を作ったり、モノトーンを推したりしました。

白幡:そうだよね、はじめはモノトーンだけだったもんね。

安西:飽きないですよね。それでいて、形は定番ではないものをどんどん作り込んで行ったら、お客さんも驚いてくれて。

白幡:大人の女性が買いに来る。

安西:そうですね。大人はやっぱり黒を選ぶ方が多いけど、意外と白も売れるんです。最初は勇気がいる色ですけど、チャレンジ精神旺盛な方がたくさん。

白幡:日本だと気になるけど、ハワイとか南国だったらいけるみたいなテンションもあるよね!私は前のブランドから通算で10年以上ディレクターをしてるんだけど、昔は他にはないデザインの服が飛ぶように売れていたの。今はそれとは逆で、似たようなものから特に吸引力のある1枚を選ぶようになったと思うの。

安西:なるほど。

白幡:雑誌のスタイリングをする時って、シャツがコーディネートルームに10枚並んでいても、瞬殺で2〜3枚に絞ってる。自分でリース(ブランドから撮影用にアイテムを借りてくる)したのに。だから、自分がどうしてその服を選んだのかっていう見方を楽しむために、スタイリストを続けてるんだよね。スタイリストって何万着以上の服を見てきてるから、その中で選ばれたものが何故なのかを服作りに活かしてる。

スタイリングをする際に気をつけていることは?

安西:女らしさ。女の色気。

白幡:答えが早い(笑)

安西:どんなコーディネートをするにしてもとにかく女っぽさを入れたい。誰から見ても素敵って思われたいから、私は男目線も気にしたい!

白幡:メンズのスタイリングもやってたから分かることだよね。 “ヒールで女らしくしよう”みたいに、合わせるアイテムで女らしさを出す?それとも、女っぽいデザインを選ぶの?

安西:抜け感とか肌の露出とか、デザインが女っぽいものを選びますね。

白幡:こずは普段ワンツーコーデでシンプルだけど、スタイル抜群だし、選ぶアイテムに女らしさがあればレイヤードは必要ないね。

安西:確かにレイヤードはしないですね。いつもシンプル。

白幡:そういうところが好きだな。単純な組み合わせでも、ちゃんと手首見せてたり脚がきれいに見えてたり、テクニックが光ってる。

安西:自分で言っちゃうとあれですけど、みんなに脚がきれいって言ってもらえるので、あえて足を出してます(笑)。ショートパンツとかミニスカートとか。

白幡:絶対出したほうがいいよ!隠すのもったいないもんね。

mikomoriの今季の新作

安西:今季は引き続きフェミニン&リゾート。やっぱり甘いのが好きなんですよ、女子は。

白幡:分かる。だって海外旅行って男の人と行くことが多いもんね。女同士だとしてもモテたいし!

安西:あとね、ロングワンピも好きなんですよ。1枚でさらっと着られるような。

白幡:楽なんだよね!

安西:リゾート用に作っているのはそういう感じ。でも、夏はちょっと趣向を変えてスポーティ&クールに行こうかと思っています。私はヨガとかやらないんですけど、朝ヨガやランニングするときにも着られるような水着などを展開予定です。

mikomoriで購入した白幡の私物。右端の水着は、mikomoriとstyling/のコラボ商品。

Kei Shirahata’s favorite item of mikomori

【水着】

styling/とのコラボ水着。背中の開きをちょっと変えて、いつものmikomoriよりも“危険な感じ”に。スポーティな紐でレースアップをあしらって、styling/らしさも出した一枚です。

【ベロアオールインワン】

細身のスウェットにキャミソールがドッキングされたみたいで、着るとすごくかわいい!ベロアの質も良くて、お値段以上に見える高級感のある素材使いはさすがです。

【ニットスパッツ】

ベロアのテーピングでスリットが入っていて、すごくきれい! やっぱり私ベロアが好きなんだな(笑)。美脚のこずちゃんだからこそ、脚をきれいに見せるためのディテールが秀逸。

【ニットワンピース】

かぎ針編みがすごくしっかりしてて、ニットの職人さんがお上手なんだろうなって思いました。ニットだけど重たさがないので、ビーチで水着の上にもさらっと着られそう。

mikomoriの水着。2月の水着展ではフェミニン&リゾートをテーマに、夏はヨガやランニングウェアとしても着用できるようなスポーティクールな新作を展開予定。

白幡:去年の春に水着のコラボさせてもらったよね。レースアップのやつ。水着といえば、昔は真夏に過酷なロケが多かったから、お洋服の下にいつも水着を着ていたのよ。

安西:本当ですか?下着がわりに?

白幡:そうそう。水着を着ていると、暑すぎて水をかけちゃっても全然気にならないの。

安西:暑くて水着になっちゃうってすごい発想(笑)。

白幡:昔から、日焼けがすごく好きで真っ黒だったの。でも遊びすぎて太陽アレルギーになっちゃったんだけど(笑)。その頃から水着にはうるさいの。mikomoriの水着もすごく好みで、フリル使いが超かわいいなって思ってた。ちょっと大胆で他にない感じがいいよね。いつ行っても素敵な水着が買える場所って、大人にとって貴重。

安西:普通のショップだと通年で売ってなかったりしますしね。

白幡:mikomoriには選択肢がたくさんあるし、黒も絶対にあるから何かしら見つかるよね。

◆後編では、styling/のタイトスカートを使って白幡と安西さんがスタイリング。この春のおしゃれのヒントがたっぷり詰まった、2人の個性にあふれる着こなし乞うご期待!

styling/ディレクター白幡 啓

白幡 啓

1996年よりスタイリストとして活動開始。独自の世界観から生み出される高感度なスタイリングを、得意とする。
意外性に富んだアプローチと時代を読むセンスで、数多くの女優・モデルからの支持も厚い。
女性ファッション誌、広告、アパレルブランドのカタログ、またトークイベントなど、多方面で活躍中。
2016年SSシーズンにディレクターとして「styling/」を立ち上げる。

stylist/director安西 こずえ

安西 こずえ

数々の女性誌をはじめ、広告やタレント・アーティストのスタイリングなど、多岐に渡って活躍する。
COZ(こず)の愛称で親しまれ、ご自身の人柄を映したような、自由で親しみやすいコーディネートに人気モデルやタレントから
絶大な信頼が集まる。2016年から、水着を中心にした大人のためのバカンス服「mikomori」をプロデュース。
Instagram:@cozcozrin