styling/ ディレクター 白幡啓の対談連載2(前編)

styling/のディレクター白幡が、いま会いたい人をお招きする対談連載です。
タイトルは白幡自身の口癖であり、この連載のテーマ。
各界で活躍する方々と、明日着る服を考えるように“わくわくするファッションの話”を。

vol.3
ディレクター Accessary designer 椿原 順子さん前編/後編)

『明日、何着る?』vol.3 stylist / mikomori director junko tsubakihara

vol.3のお相手は、自身のブランド「steady by cc」のデザイナーでありながら、モデル、人気インスタグラマー、かつ一児の母と多くの顔を持つ椿原順子さん。自らを“白幡教”と名乗るほど、白幡さんのファッションセンスに絶大な信頼を寄せる椿原さん。大人の肌や体形、着こなし……様々な悩みに向き合う中、“年齢を重ねた今だからこそ、似合う服とは?”。同世代女同士の本音トークを、前編・後編でお届けします。

styling/と椿原順子さんの関係

白幡:きっかけは「オトナミューズ」という雑誌の連載企画でしたよね。椿原さんのクローゼットを拝見して、そこにstyling/のお洋服をミックスして、コーディネイトを今っぽくブラッシュアップするという。

椿原:はい、もうその時に白幡教になりました(笑)。白幡さんにしていただいたコーディネイトが私にとっては斬新、というか目からウロコなことばかり。例えば大人が着るにはむずかしそうなショート丈トップスでも、styling/の服ならとたんにこなれたバランスになるのはさすが! と思いました。

白幡:styling/の服は、バランスをちょっとくずしたところから、“どうスタイルがよく見えるか”ということに重きをおいてデザインしているんです。
私が小柄なせいもあって、体は細く見えるか、脚は長く見えるかは常に研究してる。それに最近は“どう若く見せるか”も加わったの(笑)。

椿原:なるほど~。だから私世代が着ても、stylig/の服って安心感があるんですね。それと、長年抱えていた、“ヒールから降りられない”という悩みも解決していただきました。私、男性を見下ろすような背の高い女性に憧れがあって、足元はずっとヒール派だったんです。でも、さすがにヒールだけでは……と思っていたところに、白幡さんに一言「一年中ブーツ履いちゃえばいいのよ」って言われて。こんなにブーツが大人の着こなしにしっくりくるなんて、本当に意外でした!

白幡:とにかく服は着たもん勝ち、お洒落はやってみたもん勝ちなのよ。

椿原さんが過去にオーダーしたstyling/のアイテム一部 毎シーズン心ときめく色やデザインに出会えるのが楽しみ、と椿原さん。「イエローのコートは顔まわりをパッと華やかにトーンアップしてくれるんです。みんなから素敵だね! と褒められた自慢の一着。
プリーツスカートは歩くたびに後ろからついてくるような、ドラマティックなシルエットがお気に入りです」(椿原さん)

背中の肌見せなら大人でも自信が持てる!

椿原:styling/って背中を大胆に空けたバックレスの服が多いのも特徴ですよね。

白幡:そうそう!年を重ねると胸元やデコルテを広く開けるのってちょっとヘンにいやらしさが出ちゃうというか。だけど、さらっと見える背中なら嫌みがないし、何より自分が気にならないから堂々と着られるのよね。若い子が肌を出すならウエストだけど、大人が出すなら背中だなって。なので、大人の背中見せにはこだわっています!

椿原:たしかに。私自身、胸元の肌見せはマダム感が出ちゃうので苦手です(笑)。それに、私も背中の肌見せなら抵抗ないですね。

白幡:でしょ?まわりの同世代にきいてもみんなそうなの。胸元は気になるけど、背中は大丈夫っていう。styling/はそのためのブラも色いろと取りそろえているので、それらと合わせるとより素敵な着こなしになるんです。それに肌を露出することで、体も華奢に見えるますし。

椿原:背中見せと言っても開き過ぎない絶妙さがあるので、肌見せをトライしてみたい大人にぜひおすすめしたいですね。もう今年は背中見せなくして、始まらないです!

大人肌に似合う色をキャッチアップ!

白幡:“服が似合う”という意味では、色の選び方も大事。styling/の今季は、モロッコのような乾いたムードをイメージしていて、それを表現するために軸となる色がサンドベージュです。

椿原:サンドベージュ着てみたいです!

白幡:そこにアイスグレーを差したりしてニュアンスを足していく。ベージュと一口に言っても様々なベージュがあって、その中から今季の気分に合った色をピックアップするんです。

椿原:一見ベーシックな色でも、今っぽさを見直して選んでいる、と?

白幡:色もトレンドをキャッチアップしていかないと、とたんにミセスに流れていっちゃうから(笑)。今年らしい色にアップデートすることで、1歳も2歳も若く見える!

椿原:styling/には最初から老け見えしない色がそろっているってわけですね。ますます私たち世代に心強いです!

仕立ての美しいジャケットを一着

白幡:ところで、椿原さんがこの春買い足したい服って何ですか?

椿原:男っぽく羽織れるジャケットです。styling/の展示会で出会った、仕立てが端正なのに裾のボタンのつけ位置がサイドにあしらわれていて、ウエストがキュッとくびれるデザインのジャケット、素敵でした!カーディガン代わりに羽織ってもよさそう。

白幡:styling/のジャケットはメンズのテーラリングを取り入れているので、仕立ての美しさには自信があるの。でも形は“真面目にメンズ”だから、生地選びで女性らしさを意識したりします。身幅も少し細くしてるかな。

椿原:体にジャストフィットしながら、女性らしさもある。まさに私が理想とするジェントルウーマン像かも。

白幡:ジャケットに関してはオーセンティックな、体に合うもののほうが絶対的に美しい。今でもエディのサンローランのジャケットの美しさには圧倒されます。年齢を重ねるほど、ジャケットは正統派を選ぶべき。その分、抜きどころは他にあります。

椿原:きちんとしたジャケットスタイルだからこそ、“外し”が必要になりますね。

白幡:インパクティブなフォルムやインディアンなデザインなど、方向性のちがうアクセサリーで崩していくとすごく今っぽくなると思う。メイクで抜いてもいい。

椿原:なるほど。ジャケットで真面目に装う分、アクセサリーで遊びを足すということですね。メイクもチークやアイメイクをしないで、ナチュラルなほうがかえって洗練されそう。

白幡:頼れるジャケットを一着見つけておくと、大人のお洒落はぐんと広がります!

styling/ディレクター白幡 啓

白幡 啓

1996年よりスタイリストとして活動開始。独自の世界観から生み出される高感度なスタイリングを、得意とする。
意外性に富んだアプローチと時代を読むセンスで、数多くの女優・モデルからの支持も厚い。
女性ファッション誌、広告、アパレルブランドのカタログ、またトークイベントなど、多方面で活躍中。
2016年SSシーズンにディレクターとして「styling/」を立ち上げる。

stylist/director椿原 順子

椿原 順子

自身のアクセサリーブランド「steady by cc」デザイナーとして活躍するかたわら、モデルとして数々の女性誌に登場。
トレンドと大人のさじ加減が絶妙なコーディネイトが注目を集め、インスタフォロワー数は1万人を超える。
朗らかで、好奇心旺盛なキャラクターで日々のお洒落センスにますます磨きがかかる。
Instagram:@junkcam